アイスタなんでやねん

アイカツスターズ!ツッコミ感想

アイカツスターズ!73話「虹のドレス」感想 小雨で地が固まっちゃったね……駄回

 自分の趣味で感想を書いてるのになに真面目にやっとんねんという感じがしてきたので今回からめちゃくちゃ感情そのままに書く。
 ――といっても文章というのは感情そのままに書くということが物理的に不可能なわけであるが――
 これは対象の回で書かなくてはならんことなんだが、ドレスデザインの実力がアイドルとして云々というのは、その設定は間違いだったと言わざるをえない。
 というのもこのアニメはアイドルアニメであって、服飾アニメではないからだ。
 もしドレスが非常に重要なのだったとしたら、もっとドレスの勉強をしているシーンを最初から入れておかなくてはならんかったのだなー。
 そして服飾は服飾でかなりたいへんで、それひとつでアニメが作れてしまうと思うんだよなー。アイドルと服飾を両立するのはかなり欲張りすぎである。
 ということまでを考えたところで、アイドルはゆめ、服飾は小春と分業するというのはまったく正しい手つきであろうと思います。

 さて、今回の話をしよう。
 喧嘩のきっかけである、小春ちゃんが「守るだけじゃ新しいものは生まれないと思う!」という革新的な態度はかなり芸術的な気質で、そういう態度が原因で対立するのはあるあるだよなーって感じだみゃ。
 んで、その喧嘩というのはわりと仲間たちのさりげない助言でかんたんに解消してしまうわけだな。でもこれはそれでよかったわけです。というのも二人ともいいものを作りたい・お互いの力になりたい、その気持ちは一緒だ。というのはめちゃくちゃ浅いんですよね。ていうかあたりまえのことすぎて、たった一話で深めることができるテーマではないのです。
 この喧嘩→解消というプロセスは、二人が気持ちを確かめあった瞬間に虹をみせたかったがためのものであった。(じゃあ小春ちゃんの告白のシーンで虹を出しておけばこの回はいらんかったやんというツッコミが生まれるんだけど、だからそこは下手くそなんですよ、ってことでよろしく。小春の告白→思いを確かめ合う→虹をみる→ブランド名を変えよう! のほうがはるかにスマートだったしエモくなってたろうな)
 そして、ゆめのステージ。
 これはかなりよかった。
 エルザさまのステージよりも演出とか圧倒的に凝ってるし、オーラもめちゃんこあって、こりゃトップアイドルですわって感じ。
 アイスタのステージでリリエンヌを除けば、ステージそのものの強度があるのはこのゆめのステージくらいじゃないかな。
 んで「Message of a Rainbow」の歌詞はおおざっぱに要約すると、一緒ならどこまでも行けるよね! 強いよね! みたいな内容で、つまり「ふたりなら最強!」なわけですよ。
 あ、でもかなり重要な点がひとつあって、of "the" Rainbowではなくて、of "a" Rainbowであるところ。
 この歌詞において虹が歌われるのは「虹まで届け歌声」「虹まで届け思いよ」のふたつ。
 ゆめがどういうアイドルになりたいのかっていうと、歌を聞いた/レインボーベリーパルフェのドレスを着た人々を幸せにしたい、みんなをキラキラ輝かせたい。という、抽象的でドデカイ目標なわけです。
 この目標と今回の小春のスピーチを踏まえて考えると、虹は七つの異なった色があるからこそ綺麗だ。つまり多様性のことを言っているわけですね。
 巷でこれはLGBTの象徴だ同性愛だ! って言ってるやつがおるけど、これは多様性をあらわすからLGBTの象徴なんですよ。
 だからこの虹が、たったひとつをあらわす"the"ではなく不特定の"a"であるところはそれを意識したものであって、明確に多様性のことをテーマとしているわけですね。
 だからゆめのテーマというのは多様なこの世界の多様な人々に、この幸せが届いてほしい。この思いよ、届け。と言っているわけですな。
 これはエルザとはまったく真逆の思想で、エルザの場合は、たったひとつの完璧を欲しているわけです。もちろんその完璧は、きららのようなものがその完璧に到れるかもしれないし、レイかもしれない、とは思っているけど、頂点に登りつめるのはひとりだと認識している。そしてその頂点が世界を照らす。ということなのだろう。

 ちなみに、このステージが終わったあとに、急に小春ちゃんが舞台袖から出てきて泣きながらゆめに抱きつくの観客としてはまじでポカーンだったと思うし、小春ちゃんって留学前の四ツ星時代のときって無名のはずだから、ほんとだ小春ちゃんだーって言ってる観客はまじでコアなオタクなんですよ。たぶん大多数の観客はなんやねんって感じだったろうな。

 はい。それでこの回が描きたかったことは以下のリリエンヌの科白でわかる。
〈ぶつかりあって、さらに強い友情を築いたようですね。これぞまさしく、雨降って地固まる〉
 はい。
 これがやりたかったんだろうなーっていうのはわかるんだけど、今回のぶつかりあいに関してはめちゃくちゃ内容が薄かったしカタルシスもなにもなかったんで、失敗でした。
 正直に言うと、主人公が作中において大切なものを手に入れる回がこのような適当な作りのものだったというのは、かなり幻滅である。
 でもアイスタは今までも大事なところでめちゃくちゃ外してしまうということをやっていたので、今回もその伝統を踏襲したんであろう。
 でもまあ物語的にはふつうにみれるものだったので大失敗というわけではないけど、構造的には失敗であります。
 前回において告白をオチに持ってきたというのはかなりよかったと思う。だからこそ、そのエモさのまま突っ走って星のツバサを手に入れるという展開のほうが圧倒的によかったし、もっといえば、前回の告白のシーンをAパートの最後に持ってきて、それからレインボーベリーパルフェを作る話になって、ステージして星のツバサを手に入れるというのが無難な展開だったかなと思いまする。
 うにょん。